企業の法的責任

企業の法的責任の概要からパソコン廃棄の関する事故・事例について説明します。廃棄物処理法では、産業廃棄物の処理責任は「排出事業者」(パソコンを処分する側)にあると定められています。法律上の義務は「排出事業者」にあるのです。

概要

排出事業者の法的責任とは、自分のゴミは自分で処理する。できないのであれば処理を委託し、処理完了まで確認することです。

一般的に産業廃棄物とはビニール類・ペットボトル等のプラスチック製品や缶・アルミホイル等の金属くずなどのことを言います。家庭系ごみは自治体が回収・リサイクル・埋め立てなどを行ってくれますが、事業系ごみ(企業から出るごみ)は自治体では回収しません。例えば、古紙類などの資源物を、自治会や町内会が行っている資源回収に提供できません。また、役所などに設置してある資源回収ボックスの利用もできません。少量でも自己処理しなければならないということが法律で定められています。これが「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)です。

では、ゴミを処分したい企業が独自にすべてをリサイクルできるかといえば、それは不可能ですので、産業廃棄物を処分できる会社に委託することで代わりにゴミ処理ができることを法律で認めました。

パソコンの廃棄では、産廃業者に委託しても構いませんし、「資源有効利用促進法」(通称:パソコンリサイクル法)という別の法律に従い、PCメーカー各社でも回収して資源に戻すまで義務を持っているのでパソコンの処分を委託することができます。対象はデスクトップPC、ノートブックPC、液晶ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイなどです。

また、パソコンはゴミと違って資産であり価値があるものです。なのでパソコン廃棄.comのようなPCリユース専門企業に売却したり譲渡するなどによって処分することができます。

どの方法においても委託するなら、処理完了まで確認する必要があります。適切な業者であるかどうか、パソコンを引き渡したらどういった過程で処理されるのか確認することが大切です。

排出事業者に必要なこと

排出業者が守らなければいけないこと

平成16年9月、産業構造審議会において「排出事業者のための廃棄物・リサイクルガバナンスガイドライン※5」が策定されました。

策定の背景には大規模不法投棄問題強化される排出事業者の責任企業の社会的責任があります。

経営者向けの「廃棄物・リサイクルガバナンス」の概念提示・廃棄物管理担当部門向けの実務的ガイド・現場の廃棄物管理担当者向けの実務的ガイド等から成り立っており、排出事業者の責務を明確に認識し、廃棄物管理のリスク低減を行うことが目的となっています。

企業の法的責任

【事業者の責務】
第三条  事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2  事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器 等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、 容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になる ことのないようにしなければならない。
3  事業者は、前二項に定めるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

一般には事業所が独力で産業廃棄物を確実に安全に処理することは困難なため、その場合は処理業者などに委託することを義務づけています。

【事業者の処理】
第十二条  事業者は、自らその産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。第三項から第五項までを除き、以下この条において同じ。)の運搬又は処分を行う場合には、政 令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる産業廃棄物を定めた場合における当該産 業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
 事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。
 事業者(中間処理業者(発生から最終処分(埋立処分、海洋投入処分(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 に基づき定められた海洋への投入の場所及び方法に関する基準に従つて行う処分をいう。)又は再生をいう。以下同じ。)が終了するまでの一連の処理の行程の 中途において産業廃棄物を処分する者をいう。以下同じ。)を含む。次項及び第五項並びに次条第三項から第五項までにおいて同じ。)は、その産業廃棄物(特 別管理産業廃棄物を除くものとし、中間処理産業廃棄物(発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分した後の産業廃 棄物をいう。以下同じ。)を含む。次項及び第五項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第十四条第十二項に規定す る産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しな ければならない。
 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
 事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 その事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業 者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、産業廃棄物処理責任者を置かなければならない。ただし、自ら産業廃棄物処理責任者となる事業場については、この限りでない。

このように法令では、

なお、法人が不法投棄に関して違反した場合には重い罰則がかかります。

【投棄禁止】 第三十二条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
2  第二十五条第一項第一号から第四号まで、第十二号、第十四号若しくは第十五号又は第二項 三億円以下の罰金刑
3  第二十五条第一項(前号の場合を除く。)、第二十六条、第二十七条、第二十八条第二号、第二十九条又は第三十条 各本条の罰金刑

パソコン廃棄の関する事故・事例

買った中古PCに市職員の給与額500人分…鹿児島
南日本新聞(2014/3/18)に掲載。鹿児島県H市職員労働組合の組合員ら約500人の個人情報が外部に流出していたことが18日、わかった。組合によると、流出したのは組合員や元組合員の氏名、住所、生年月日、電話番号、給与額、金融機関の口座番号など。2005年~12年に組合が作成した資料に書かれ、処分したパソコンに保存されていた。組合は12年7月頃にパソコンを更新した際、納入業者に古いパソコンの処分を依頼したが、業者は廃棄せず、別の業者に引き渡していた。13年11月、インターネットオークションでこのパソコンを購入したという男性が組合に知らせ、情報流出が発覚したという。組合は「今後は廃棄確認を徹底するなど、情報管理を強化する」としている。ニュース | Yomiuri online

外資系生活用品大手における顧客情報の流出事故
読売新聞東京夕刊(2004/6/21)に掲載。東京都港区の放送局と同社の番組スポンサーである外資系生活用品大手がCMで行った懸賞クイズの応募者1万 868 人分の顧客の個人情報が記録された CD-ROM が、廃棄処分にする予定だったパソコンとともに外部に流出した。廃棄物等からの情報漏洩事故や情報漏洩対策に関する情報収集 | 総務省

パソコンリサイクルと家電リサイクルとの違い

事務所から排出されたコンピュータ(デスクトップ・ノートパソコン、ディスプレイ(ブラウン管、液晶)、プリンタ、UPSなど装置)と家電製品(エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)では廃棄方法が異なります。これは基になる法律が異なる為です。パソコンリサイクルは「資源有効利用促進法」、家電リサイクルは「特定家庭用機器再商品化法」です。どちらも有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律ですが、リサイクルを促進するための団体が異なる、参加企業や実施方法も異なります。パソコンリサイクルは「PC3R推進協会」、家電リサイクルは「RKC 一般財団法人家電製品協会」が対応を行っております。

家庭向けパソコンリサイクルと事業系パソコンリサイクルの違い

どちらもパソコンリサイクル法によって埋め立てではなく再資源化・エコな社会の推進が推奨されています。家庭向けパソコンでは事前に回収再資源化料金が上乗せされて家電量販店などで販売されています(PCリサイクルマーク)。一方、事業系パソコンは廃棄時に委託業者に支払う方式になっています。メーカーによってはPCリサイクルマークがついているパソコンは法人でも無料で引き取ってもらえる場合がありますが、産業廃棄物としての管理などに関わる費用を別途請求される場合もあります。

パソコンリサイクル法対象外のプリンタ、スキャナなどについては、家庭向けは自治体のゴミとして処分できます。事業系は前述通り産業廃棄物として処理して下さい。

企業のパソコンの廃棄家庭と企業の廃棄は違う|企業の法的責任|パソコン廃棄マニュアル

※5「リサイクルガバナンスガイドライン」
外部リンクURL排出事業者のための廃棄物・リサイクルガバナンスガイドライン
排出事業者が廃棄物等の適正処理・リサイクルを推進していく際の手引きとなることを目的に策定された。

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